印刷技術情報

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2012年INCQC表彰式

INCQC表彰式に参加して


朝日プリンテック 社長 伊中義明

ドイツ5番目の都市、フランクフルトは森に囲まれています。空港から市街地への高速道路の両側は森林が連なり、その梢の隙間から、やがて高層ビルのシルエットが見えてきました。   2012年10月28日、私と技術センターの上杉健司君、堺工場の山本翠君の3人が朝日プリンテックを代表して、フランクフルトで開かれたINCQC(世界新聞カラー品質クラブ)の表彰式に出席するため、成田を飛び立ちました。

表彰式は、WAN-IFRA(世界新聞・ニュース発行者協会)が主催するWorld Publishing Expo2012(以下、Expoと略)の最終日、31日に行われました。会場は、フランクフルトの中心街にある総合見本市会場(メッセ・フランクフルト)です。

総合見本市会場 メッセ・フランクフルト

総合見本市会場 メッセ・フランクフルト

ここでは、3日間にわたり、25か国から200を超える企業・組織がブースを出し、印刷からモバイルまでの新聞発行に関する実機やパネル展示を行いながら、次々に大型商談が進められていきました。 INCQCの国際コンテストは、WAN-IFRAが2年に一度主催する一大行事ですので、その表彰式がExpoの最後を飾りました。 とはいいながら、大きな演壇のうえでランクの高い順に表彰状が贈られる、そんな日本式の表彰式とは違い、むしろ1日がかりのセレモニーといった形式でした。

INCQC受賞者全体写真

INCQC受賞者全体写真


堺工場がエントリーしたINCQC2012-2014には世界から192紙が参加し、125紙が「クラブ」メンバーとして認められました。そのすべての新聞社・印刷社の関係者が「メッセ」に集まり、まず午前中から午後にかけて、次々と会場の一角にある「Media Port」という場所で「クラブメンバー」の証明書を受け取り、WAN-IFRAの幹部と記念写真を撮りました。 続いて、優秀な成績を上げた社を代表して、3社が記念スピーチをし、さらに午後7時から、会場近くのホテルで400人以上が参加する大晩餐会(INCQC Awards Dinner)が開かれました。

INCQC大晩餐会

INCQC大晩餐会の様子


INCQCの基本的な考え方は、2年に一度の国際コンテストを通じて、世界の新聞のカラー品質の水準を高めることです。そのため、一定の水準に達した新聞にクラブの「会員資格」を与え、その品質を客観的に保証することが一番の目的となります。この「晩餐会」はまさに、資格を得た各社がともに喜びあい、お互いに切磋琢磨していくことを誓い合う場でもあります。 「晩餐会」では、まず、大きなパワポで各社の「新聞」がABC順に次々と大きく映し出されました。そのたびに、会場のあちこちから、歓声が沸きあがって、大変な盛り上がりでした。 席順は自由でしたので、私たち3人は、演壇に近い最前列のテーブルに、インドやスウェーデンの新聞社の人たちと一緒に座り、「Asahi Printech」の番では一緒に歓声を上げてもらいました。

INCQC表彰式

晩餐会で映し出される弊社印刷の朝日新聞


記念スピーチ

セレモニーでは、各社のランキングは一切発表されません。何番目で入賞したかよりも、メンバーに入ることが重視されるからです。「メンバー」であるかないかは、ヨーロッパでは我々が想像する以上に、各社にとってはビジネス上も大きな差があるようです。 そのなかで、プリンテック社は格別に貴重な機会をいただきました。午後2時20分からの記念スピーチで、一番目に指名されたのです。 このスピーチは、プリンテック社の「カラー品質向上」への取り組みと、INCQCに挑戦した意義、それから学んだことを中心に、パワーポイントにまとめたものです。

INCQC記念スピーチ

記念スピーチをする弊社社長 伊中義明


簡単に説明しますと、会社紹介の後、2004年からテシコンパッチの導入や紙面評価会で紙面品質の改善に取り組んできたこと、2006年のFMスクリーニングの導入と、その蓄積のうえに立って2008年の築地工場が初挑戦し、堺工場が3度目の挑戦だったことを伝えました。 INCQCへの挑戦の意義としては、「何が美しい紙面であるか」を決めるのは顧客(読者・広告クライアント)であることを知ったこと、新聞紙面品質の世界レベルを知ったことの2点を強調しました。 最後に、「私たちは世界標準を満たすことができることを(INCQCを通じて)証明することができました。このことは、私たちに大きな自信と可能性を気づかせてくれました」と述べて、「このような(挑戦の)機会を与えていただいた」ことに感謝の気持ちを表しました。

スピーチは私が壇上から、英語で行いました。また、スピーチのなかで、1月に船橋工場で印刷したパノラマ印刷を紹介し、それにあわせて上杉君と山本君にパノラマを壇上で広げてもらい、さらに講演後、会場に詰めかけた人たちに一斉に配りました。 たちまち、会場中に「パノラマ」の花が開き、各社の方が食いいるように見つめていました。アフリカや中国など数社は私たちのところに質問にも来られ、「プリンテックここにあり」と、大きな手ごたえを感じました。

パノラマ印刷デモンストレーション

記念スピーチでのパノラマ印刷デモンストレーション


Expoの変身

最後に、フランクフルトのメッセ会場で3日間にわたり開かれたExpoのことを少し紹介します。 もともとこのExpoは、IFRA Expo といって、IFRA(国際新聞技術研究協会)が毎年開いていた新聞技術に関する展示会で、今年が42回目になります。それが今年から、名称が「World Publishing Expo」に変わったのは、新聞を取り巻く技術の大変化の反映です。 「World Publishing Expo」は、一口に訳しにくいのですが、内容を短い言葉で表すと、「タブレットやモバイルや印刷など、オンラインで新聞を発行するための主要な技術の展示会」と言えます。

長い間、ニュースは新聞社から「紙の新聞」を通じて多くの人々に発信されてきましたが、今では、パソコン、タブレット、モバイルなどデジタル端末を通じて、多くの人がニュースを読んでいます。この時代の変化に合わせて、新聞中心の技術展ではなく、新聞の周辺分野へのデジタル技術も含めた総合的な展示会に発展させたいというのが主催者側の狙いです。 このため、多くの企業が「コンテンツ(ニュースの素材)を、印刷だけでなく、デジタル系の媒体(放送、パソコン、モバイル、タブレットなど)にも、1つの統合システムで発信できる」ことを宣伝文句にうたっています。

世界中の新聞社はどこもまだ、「紙の新聞」で大半の利益を上げています。しかし、デジタル端末でニュースを読む人が増えている以上、そこにいかに効率的に安く情報を流すかが、新聞社にとっては死活的に重要になっているのです。 本来の新聞技術については、2012年5月にドイツで4年に一度の世界最大の印刷機材展「drupa2012」が開かれたばかりですので、輪転機やデジタル印刷機の実機展示は1つもなく、盛り上がりを欠いた印象は否めません。ただ、どのメーカーも新聞社の経営の厳しさを知っていますので、印刷工程のさまざまなところで、人員や資材の節約、設備の機能拡大、自動化・効率化を目指した新技術を競い合うように紹介していました。

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